パーソナルスタイリスト・ツルタです。
今回は、衣装の力はこれほどまでにすごい!という、あなたのなかでも価値観のすり替えがおこりうるかもしれない、そんな内容です。これを読んだ後、洋服を軽視することは、二度と出来なくなるかもしれません。
服の力をどれほど信じていますか?
「着るものにはこだわらない」という男性のかたは少なくありません。もっと言えば、「着るものなんて、着られればなんだっていい」とおっしゃるかたもいらっしゃいます。
まるで、食べ物に対してもこだわりのない様子に、「お腹いっぱいになれば、なんでもいい。」という、男性がいらっしゃるように。
メンズアパレル店員17年の経験がある、わたくしも、お客さまの応対の中で常日頃、そのような男性は多いことを感じておりました。
もちろん、男性は女性ほどにファッションに気を取られないほうが「粋」です。それはそうなのですが…
この先の内容を読んだあとも、「着るものなんて、着られればなんだっていい」とは、言えなくなるかもしれません。
必読!文学から学ぶ、装いの力
『形』ー菊池寛
早速ご紹介したいのは、『形』(菊池寛)というとても短い小説です。
内容のあらすじは、戦国時代に中村新兵衛という、槍の達人がいて、「槍中村」と呼ばれ、恐れられていました。
新兵衛が、「唐冠の兜(かぶと)」と「猩々緋の服折(はおり)姿」で槍をふるう姿は、敵にとってどれほどの脅威が分からないほどでありました。
その姿は、敵味方の間でも輝くばかりのあざやかさをもっていました。
あるとき、初陣の若侍が新兵衛の兜と服折を借りたいと願い出ると、新兵衛は快く応じ貸してしまいます。
そして、若侍がこれを着て戦場に出ると敵は、唐冠と猩々緋を見ただけで、新兵衛だ!と、怖気(おじけ)づき浮き足立って、たやすく討たれるのです。
その後に本物の新兵衛が、普段と異なる『形』で出陣すると、敵兵は新兵衛と知らずに、少しも恐れず応戦し、新兵衛は必死の力をふるったにもかかわらず、討たれ死にしてしまうというお話しです。
これを読んだあと、なんとも言えない喪失感のような、悲しさの余韻が残り、記憶から離れずにいます。
この内容は、『形』はこれほどまでに大きな力を及ぼすということを、教えてくれたように思います。
わたくしはファッションカウンセラーという職業柄、『形』を見た目である「ファッション」に置き換えて、解釈しました。
もしかすると人によっては、「見た目」という『形』だけでなく、仕事において重要視される、「数字」であったり、「実績、経験」といったことも含まれるかもしれません。
華であり、脅威であり、信頼の的
小説のくだりにこんな一節があります。
戦場の華であり、
敵に対する脅威であり、
味方にとっては信頼の的であった。
(社会的な場所で)華となり、ライバルにとって脅威になり、家族や大切な人にとって、信頼される存在でありたい。
脅威は言い過ぎにしても、華であり、信頼の的という、くだりが特に好きです。わたくしもこうでありたい、と心打たれます。
ぜひ、いまいちど、装いについてよく考えてみてほしい、(特に男性に)そんなきっかけになればと、この記事をかきました。
最後に、わたくしのなかで、切なくて悲しい余韻の一因となる、小説の「最後の一節」をご紹介して、終わります。
手軽に兜や猩々緋を借したことを、後悔するような感じが頭の中をかすめたときであった。
敵の突き出した鎗が、縅の裏をかいて彼の脾腹(ひばら)を貫いていた。
ビジネスのスキルアップのために「スクールに通う」「異業種交流会に参加する」なども素晴らしい行動ですが…。
成果が出るまでには、多くの時間がかかるものです。
しかし、服を着替えればオッケー。これほどまでに、効果の早いビジネススキルアップ術はないでしょう。
あなたも身だしなみを整えて、スキルアップしませんか?